計装って何?
計装とは
ひとことで言うと、“自動ではかってコントロール”すること
例えば、プールの水張り
例えば、プールに水を満杯の10cm下まで溜めたいとしましょう。
人の作業で行う場合
<必要なもの>
- 溜まった水の量をはかるもの(ものさし)
- 給水を開始したり止めたりするもの(蛇口)
- はかってコントロールする人
<どのように行うか>
- 目的の水の量を知るため、ものさしではかる(満杯の10cm下にマークする)
- 蛇口を開けて、給水を開始する
- 水の量を常に監視する
- 水がマーク位置に達したら、すぐに蛇口を締めて給水を止める
自動で行う場合
<必要なもの>
- 水の量を計るもの(水位計)
- 給水を開始したり止めたりするもの(※自動弁)
※電気信号で開閉する、蛇口のようなもの
- 水位計からの電気信号を受けて、自動弁を開閉する装置(※コントローラ)
※最近ではコンピュータが使われることが多い
- コントローラの“給水開始”のスイッチを押す人
<どのように行うか>
- 人がコントローラに“給水開始”を指令する
- コントローラが自動弁に“給水開始”を指令する
- 自動弁が開いて、給水が開始する
- 水位計が、常に水の高さをはかり、コントローラに伝える
- 水位計から届く水位情報が、マーク位置と等しくなれば、コントローラからの指令で、自動弁が閉まり、給水が止まる
<メモ>
この、機械や装置を目標とする状態にするために自動的な操作を加えることを「自動制御」といいます。
【給水を開始するとき】
【給水を監視・止めるとき】
計装技術はどのように使われているの?
ガラスや金属を溶かしたり、水を沸騰させて蒸気を作ったりする、燃焼制御
燃焼にも効率の悪い燃焼と効率の良い燃焼があります。
工場では、非常に多くのエネルギーが消費されています。その中でも代表的なのが、石油やガスなどの燃料を燃やす、燃焼設備です。
その設備の省エネ化や大気汚染対策には、効率の良い燃焼が不可欠です。
効率の悪い燃焼
燃料(ガス)の量に対して、過剰な量の酸素(空気)が供給されている状態
この状態では、発生した熱を無駄な空気に奪われてしまうため、ものを温めるために使うことのできるエネルギーが少なくなります。
燃料(ガス)の量に対して、酸素(空気)が不足している状態
この状態では、ガスをうまく燃焼に使い切ることができず、不完全燃焼を起こします。ものを温めるために使うことのできるエネルギーが少なくなります。また、有毒な一酸化炭素が発生します。
効率の良い燃焼
燃料(ガス)の量に対して、適切な量の酸素(空気)が供給されている状態
燃料(ガス)と酸素(空気)のバランスが適切な状態でものを燃やすと、ものを温めるためのエネルギーを最大限に作ることができます。
また、結果的に、二酸化炭素の排出量も抑えることができます。
燃焼制御では、その設備でその時に必要なエネルギーを作れるよう、燃料(ガス)の量をコントロールします。
そして、その燃料(ガス)に適切な量の酸素(空気)が供給されるようにコントロールします。
これにより、効率の良い燃焼を実現します。
計装技術はどのように使われているの︖
工場で使用後の水を、キレイな状態で工場外に排出するために中和する、水質制御・pH制御
工場では、設備の冷却や洗浄、原料を薄めるときなど、様々な場面で非常に多くの水を使用します。また、使用後の水pH値はさまざまです。
どのようにしてpH値を整えるの︖
酸性やアルカリ性の水を、そのまま工場外へ排水すると、水質汚染の原因になってしまうため、川や海に排水するためには、人や環境に無害な状態にする必要があります。
その役割を担う「排水処理施設」の中で、中性(pH7)になるように「中和」しているのが、「中和設備」と呼ばれるものです。
中和設備では、どのように中和しているの︖
中学の理科で、BTB水溶液やリトマス試験紙などを使って行った、中和の実験と同じことを、大量の水に対して自動制御を行います。
【pH制御の流れ】
水質・pH制御を使って行う排水処理は、工場外の環境に影響を与える可能性のある重要な機能です。
そのため、この確実な制御により、クリーンな水質環境が実現していると言えます。